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クリティカルパスとは?求め方と最短工期の見つけ方をわかりやすく解説

公開日:2026年6月8日 / 著者:株式会社好循環

「全体の納期を1日でも縮めたいが、どの作業を急げばいいのか分からない」——プロジェクトの工期を考えるとき、必ず行き当たるのがこの問いです。実は、すべてのタスクを均等に頑張る必要はありません。納期を左右しているのは、つながったタスクの中でもっとも時間のかかる一本道だけ。これを「クリティカルパス」と呼びます。本記事では、クリティカルパスとは何かを、計算のしくみと簡単な例を使って、はじめての人にも分かるように解説します。

クリティカルパスとは

クリティカルパス(critical path)とは、プロジェクトの開始から完了までをつなぐ作業の経路のうち、所要時間の合計がもっとも長くなる経路のことです。日本語では「最長経路」や「臨界経路」とも呼ばれます。

ポイントは、この経路の長さ=プロジェクト全体の最短工期になるという点です。クリティカルパス上のタスクが1日遅れれば、プロジェクト全体も1日遅れます。逆に、この経路に乗っていないタスクは多少遅れても全体の納期には影響しません。つまり「どこを管理すれば納期が守れるか」を教えてくれるのがクリティカルパスです。

クリティカルパスの概念図。開始→A要件定義→B基本設計→Dテスト→完了の経路が最長の10日でクリティカルパス(赤)、A→C環境構築→Dの経路は7日で3日の余裕があることを示している
▲ クリティカルパスの考え方。赤い経路(A→B→D=10日)が最長で、ここが全体の工期を決めます。下のC(環境構築)は3日の「余裕(フロート)」があるため、多少遅れても納期には響きません。

この考え方を使った工程管理の手法を CPM(Critical Path Method/クリティカルパス法)と呼びます。建設・製造・ソフトウェア開発など、複数の作業が並行して進む現場で広く使われています。

なぜクリティカルパスが重要なのか

プロジェクトには、同時に進められるタスクと、前の作業が終わらないと始められないタスクが混在します。納期を決めているのは、後者がつながった「一番長い鎖」です。

クリティカルパスの求め方(簡単な例)

言葉だけだと分かりにくいので、小さな例で求めてみましょう。次の5つのタスクからなるプロジェクトを考えます。

タスク所要日数先行タスク(これが終わらないと始められない)
A:要件を決める2日なし(最初)
B:設計する4日A
C:資材を手配する3日A
D:製作する5日B・C
E:検査する2日D

ステップ1:経路を洗い出して合計する

開始から終了までの道すじをすべて書き出し、それぞれ所要日数を足します。

ステップ2:もっとも長い経路を選ぶ

2つの経路のうち長いのは経路①の13日です。したがって、このプロジェクトのクリティカルパスは A → B → D → E、最短工期は 13日 と分かります。Bを含む経路が全体を決めているので、設計(B)が遅れると即・納期遅延につながります。

ステップ3:フロート(余裕日数)を確認する

経路②にだけ含まれるタスクC(資材手配)に注目します。経路①が13日に対し、Cを通る経路②は12日。つまりCには 1日の余裕(フロート) があります。Cは1日遅れても全体の納期には響きません。この「遅れても大丈夫な日数」をフロート(またはスラック)と呼び、ゼロのタスクの連なりがそのままクリティカルパスになります。

実際の現場では、最早開始日(できるだけ早く始めた場合の日付)と最遅開始日(遅らせても間に合う限界の日付)を全タスクで計算し、その差が0のタスクをつないでクリティカルパスを特定します。タスクが数十個になると手計算は大変なので、ガンちゃんのようなガントチャートツールで横棒のつながりを見ながら確認するのが現実的です。

クリティカルパスを使った工期短縮のコツ

「納期を縮めたい」と言われたとき、やみくもに全員を急がせても効果はありません。縮めるべきはクリティカルパス上のタスクだけです。代表的な打ち手は2つあります。

1. クラッシング(資源の投入)

クリティカルパス上のタスクに人員や設備を追加して、所要日数そのものを短くする方法です。先ほどの例なら、設計(B)に人を増やして4日→3日にできれば、全体も13日→12日に縮みます。ただしコストは増えるため、費用対効果の見極めが要ります。

2. ファストトラッキング(並行化)

本来は順番に進める作業を、一部重ねて並行で進める方法です。「設計が全部終わってから製作」ではなく「設計が固まった部分から製作を始める」といった形です。追加コストはかかりませんが、手戻りのリスクが上がるので注意が必要です。

なお、工期を縮めると別の経路が新たに一番長くなり、クリティカルパスが移動することがあります。短縮の打ち手を入れたら、もう一度経路を計算し直すのが鉄則です。

ガントチャートでクリティカルパスを見る

クリティカルパスは、タスクの前後関係(依存関係)が見えていないと特定できません。そのため、横軸に時間をとり、タスクのつながりを線で結べるガントチャートと相性が良い考え方です。タスクを洗い出して順序づける作業は、WBS(タスク分解)の基本ガントチャートの作り方 5ステップがそのまま土台になります。

また、実際に走り始めたあとの「予定どおり進んでいるか」を見るには、イナズマ線で実績の遅れを可視化し、遅れているタスクがクリティカルパス上かどうかを確認すると、対応の優先順位が一目で分かります。節目の管理にはマイルストーンを併用すると、長い経路の途中でも進捗を確認しやすくなります。

まとめ — 「一番長い一本道」を見つければ納期は守れる

クリティカルパスとは、プロジェクトの開始から完了までをつなぐ経路のうち、もっとも時間のかかる一本道のことです。その長さが最短工期そのものであり、ここに乗ったタスクが全体の納期を決めています。まずは経路をすべて書き出して合計し、一番長い経路を選ぶ。そして余裕(フロート)のあるタスクと、絶対に遅らせられないタスクを分ける。これだけで「どこを守れば間に合うか」がはっきりします。複数のタスクが絡んで全体が見えにくいときは、ガントチャートに並べて前後のつながりを確認するところから始めてみてください。

この記事のまとめ

  • クリティカルパス=開始から完了をつなぐ経路のうち、所要時間が最長の一本道
  • その長さがプロジェクト全体の最短工期。上のタスクが遅れると即・納期遅延
  • 求め方は「全経路を書き出して合計→一番長い経路を選ぶ→フロートを確認」
  • 工期短縮はクリティカルパス上だけ。短縮後は経路が移るので再計算が鉄則
  • タスクの前後関係が要るため、ガントチャートで可視化すると分かりやすい